ちぐさ東洋クリニック の日記
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ネットで漢方を購入される方へ
2013.06.28
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様々なメディアで漢方や漢方薬が取り上げられています。 おかけで当院にも漢方に興味を持たれた方からのお問い合わせに加えて実際の患者数も急増しています。このようにわれわれのような漢方専門医や漢方に詳しい薬剤師さんの処にご相談される方がおられる一方、自己判断で漢方を購入され、結局は効果が無い場合や帰って症状が増悪された方がおられるのではないかと少しばかり心配しています。
その原因として「漢方には副作用がない」と未だに信じている方が医療関係者の中にもおられることに驚かされます。漢方はキチンとした診断に基づいた処方選択が必要であり、それに随わない場合は誤治となり、場合によっては様々な副作用が引き起こすことがあります。副作用としては低カリウム血症、間質性肺炎、血圧上昇、浮腫、横紋筋融解症の他、様々な副作用があります。そのため、当院では血中酸素濃度と血圧は毎回測定し、数ヶ月おきに血液生化学検査を行い、安全な漢方治療を心がけています。
とはいうものの、最近少し頭の痛い問題が発生しています。それは多くの診療科の先生が漢方薬を処方されるようになったことです。漢方の普及という面では喜ばしいことなのだろうと思いますが、副作用問題の誘因になるのではないかと心配しています。
例えば、更年期障害のある女性で体重増加や血圧上昇があり、少し運動を始めたところ、早朝にこむら返りを起こすようになった女性が、婦人科と内科から別々に漢方薬を処方された場合、生薬の中味が重なってしまうことが予想されます。これは、一つのどんぶりでラーメンとうどん、天津飯、かき氷を入れてかき混ぜて食べさせるのと同じです。
何種類かの漢方薬は漢方の理論に従わずに重ねて使うと、効果が減弱するばかりでなく、副作用の引き金にもなるのです。そのようなことを避けるためには、きちんと薬剤師さんに薬歴管理をしていただくとともに処方される医師にすでに処方されている漢方薬をきちんとお伝え下さい。そして、できればそのような方については漢方専門医や漢方に詳しい薬剤師に漢方薬の処方をお任せいただくことが肝要です。もちろん、西洋薬も同様です。